1505418 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

日本顎関節症リハビリ研究室 /より安定した快適咬合を求めて

日本顎関節症リハビリ研究室 /より安定した快適咬合を求めて

川村秋夫  宮城県にて発表2004

咀嚼訓練と頸椎可動域の関連について


川村秋夫  akio kawamura

   
 顎関節症の随伴症状と言われる不定愁訴の咬合関連症は、頸部筋群と咀嚼筋の圧痛の関連性及び頸部の可動域と関連が深いことが臨床上示唆されている。全歯牙接触型スタビリゼーションsplintにて何度もていねいに調整し、極小タッピングが収束し、左右臼歯部の均等接触し、前歯部が弱く接触し、アンテリアガイダンスを修正し時間を於いてもタッピングが収束し安定してくると、咀嚼筋と頸部筋の圧痛が減少するだけでなく、膝の裏(委中)の圧痛も軽減している患者さんが多数見受けられる。

 スプリントで咀嚼筋と頸部筋の圧痛が減少すると、首の可動域が拡大していることが多い。右で咀嚼すると、右に首が倒れやすくなり、捻転がしやすくなることが多く、左に行きにくくなったと感じる。また左で噛むと左に傾斜しやすく捻転しやすくなる。首を動かし可動域が少し不快な位置を捜して(曲げて捻った位置二軸、三軸)、両側で咀嚼訓練を強くすると、首を動かしたときの不快症状が軽減し、より可動域が拡大していることが多い。スプリントを装着しただけでは、首の痛みが軽減しにくいとき、弾性チューブを用いた咀嚼訓練(不快な首の位置)は、即効性の可動域を拡大し不快症状を軽減できる安全な頸椎可動域調整方法であり、家庭で行えるため臨床応用が高いと思われる。下顎の偏位側に首を曲げたままでの偏咀嚼は、首の可動域をより変化させ、悪化さにせることが示唆され、首を真っ直ぐにして、偏咀嚼がないように全体的に咀嚼することは、首の可動域を適切に拡大し、症状の軽減に繋がる可能性が高いと思われる。また咀嚼訓練により首の可動域が拡大すると、同時に立位体前屈や後屈の腰の可動域も拡大していることが多いのは 臨床上の事実であるがほとんど知られていない。

 下顎位の誘導法は、術者誘導のチンポイント変法、バイラテラル法などもあるが 私が推奨するのは、患者自身のEMGバイオフィ-ドバックの極小タッピングを重視し、スプリントやアンテリア・ジク(前歯型スプリント)にて極小タッピングが収束し安定するまで調整を繰り返した後、外しての咬合診断を行っている。時間とともに変化することも多々あり、顎関節症の多様な症状と上下の接触点とタッピング状態が収束し安定しているか時に数週間数ヶ月の経過観察が必要になる。タッピング時に、筋電図を利用するのも有効であるが咬筋を触診すると微妙な左右の筋の活動性が触知でき、患者さんの接触状態を感覚的に共有できることが多い。

 また家庭療法として咬み合わせの自己診断方法を積極的に推奨している。方法は、顎のストレッチング後に、口角を左右に軽く伸展しての極小タッピング方法と上下の口唇を付けたままでの、極小タッピングの時の左右前後の接触状態とタッピング音の差である。タッピング時は、左右前後の接触音の差を感じ取って欲しいのである。時間を於いても変化しないか、スプリントは均等に接触しているか自己診断を大切にしている。 

 スプリントは、可撤式が原則である。早期接触(first contact)が上下とも天然歯のとき、補綴物の中心窩が接触せず低位であるときは、スプリントを外したギャップを修正するため補綴物やインレーの上に、接着性レジンを貼り付けたダイレクト・スプリントを行い、大臼歯の中心窩を接触させアンテリアガイダンスを修正し、タッピングのより安定の後に、治療冠に置き換えての咬み合わせの治療を行っている。足すか、足しながら削るか、削るかを過去の治療経過と口腔内から得られる歯科治療の経過情報、咬合平面などを考慮し診断を要する。

 歯科医師が行える頸椎脊椎の簡易な調整による関節可動域の拡大方法とスプリント調整、ダイレクト・スプリント療法の症例を解説し紹介する。


 <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<

川村秋夫

1977東北大学歯学部卒業  

東北大病院 口腔外科在籍  文部科学省教官 口腔外科助手
     
 研究テーマ インプラント治療

仙台市開業
 顎関節症のリハビリ治療

日本顎咬合学会認定指導医

操体法指導員


© Rakuten Group, Inc.